🌈新潟市を考えて 一般質問 ✤ 分析 ✤ 政策
新潟市議会・一般質問📄
1 人口減少対策としての本市における産婦人科に対する認識と対応について
(1) 人口減少対策という視点から見た全8区の医療体制について 市長
【質問趣旨】
人口減少対策の観点からの本市における産婦人科の体制はどうなっているか。
【答弁要旨】
本市においては、少子高齢化の進展に加え、若者の東京圏への流出などにより、さらなる人口の減少が見込まれています。人口減少を少しでも和らげ、希望する人が安心して結婚し、子どもを産み育てることができるまちをつくるためにも、妊娠・出産を含む子育て支援は、これからの新潟を見据えた、将来の活力を左右する重要な取り組みであると認識しています。
産婦人科のうち分娩を取り扱う医療機関については、本年4月現在で県内に33施設あるうち、本市には5病院、9診療所の計14施設が集中しており、市内の交通の利便性も高いことから、安心して子どもを産み育てられる環境にあると考えています。
一方で、県全体で見ますと産婦人科の医師不足が深刻化しており、分娩数の減少や来年度から適用される「医師の働き方改革」もあるため、県や関係者により今後の周産期医療の提供体制について検討が続いています。
今後もこれらの検討状況を注視しながら、本市の未来につながる妊娠・出産・子育て支援に取り組んでいきます。
(2) 産婦人科の設置や維持に関する施策について 保健衛生部長
【質問趣旨】
本市の産婦人科の設置や維持に関する施策について伺う
【答弁要旨】
産婦人科は、妊娠・出産や女性特有の疾患などを含め、生涯にわたる健康維持のためにも、市民生活に欠くことができない診療科です。産婦人科の診療は、基本的には、かかりつけの病院や診療所で行われていますが、急な体調不良時などへの備えとして、救急医療の体制を整備することが、本市が果たす役割として優先度が高いと考えています。
本市では、初期救急として、在宅当番医のほか急患診療センターにおいて診療体制を確保するとともに、二次救急として緊急対応が可能な市内3病院にご協力いただき、365日、休日や夜間に救急車の受け入れを行う輪番制を組むことにより、安心して受診できる産婦人科救急医療体制の整備を図っております。
(3) 全8区に分娩対応が可能な産婦人科が整わない現状に対する取組 保健衛生部長
【質問趣旨】
市内の全ての区に産婦人科が必要と考えるがどうか。
【答弁要旨】
本市において分娩を取り扱う産婦人科については、市内に14施設ありますが、開設場所については医療機関が自ら定めるものであるため、区によって状況が異なります。
身体的・精神的に負担の大きい妊婦にとって、距離的に近く通いやすい産婦人科があることは望ましいと考えますが、医療においては、いわゆる「フリーアクセス」の考えがあり、医療機関の規模を問わず、診療方針などによって妊婦が自由に受診先を選ぶことができる利点もあります。交通体系も発達しており、お住いの区に限らず、医療施設を選ぶ方もいらっしゃると聞いています。
また、来年度から新たに開設する産婦人科もありますので、市全体の状況について常に把握し、体制確保に努めていきます。
2 全中学校におけるスクールランチから全員給食への切替えの可能性について (教育長)
(1) 中学校におけるスクールランチと全員給食の各学校数と状況について
【質問趣旨】
スクールランチと全員給食を提供している各学校数スクールランチの生徒、保護者の意見状況を確認する。
【答弁要旨】
スクールランチを提供している中学校は28校あり、それ以外の全員給食の中学校は、29校あります。
スクールランチについては、生徒や保護者から「弁当を用意する負担が減る」「限られた費用でバリエーション豊かで栄養あるものが食べられる」などの肯定的な評価をいただいています。
一方で、ランチボックスを食中毒防止として調理後に冷却して届けているため「おかずが冷たい」というご意見や、事前申込制であることから「予約が面倒」「現金を扱うことへの不安」などの意見を頂いており、残食量が多く十分な栄養摂取への懸念があることなど、いくつかの課題があると認識しています。
(2) 全中学校への全員給食の導入について
【質問趣旨】
すべての子どもたちが、バランスよく温かい食事ができる環境を整備し、全員給食制を実施すべきではないか。
【答弁要旨】
10月に学校給食懇話会からも食缶方式による全員給食にすべきとの提言を頂きました。提言のとおり実施することで、全ての生徒に十分な栄養のある温かい給食を提供できるとともに、給食を食材とした食育が行いやすくなります。
学校給食は、子どもたちの体つくるだけでなく、いのちの大切さや、環境教育など、様々に学びに関係しています。また、将来の成長にも影響があるなど、大変重要な役割を担っています。
食缶方式による全員給食を早期に実施できるよう市長部局と一体となって、具体的に取り組んでいきます。
3 インクルーシブ教育について(教育長)池田教育次長
(1) 本市が目指す理想のインクルーシブ教育とはどのようなものか。
【質問趣旨】
本市が目指すインクルーシブ教育のあり方と見通しはどういうものであるか。
【答弁要旨】
本市では、子どもたち一人ひとりが自分らしく学び地域の一員として活躍できる社会の実現を目指す教育を、理想のインクルーシブ教育と踏まえつつ、適正な就学判断と教育課程の編成によるインクルーシブ教育システムの基盤作り、トライアングルシートの活用による教育・福祉・医療が一体となった支援体制の確立、個別の教育支援計画作成による生涯を見通した切れ目のない支援の実現を目指して取り組んでいます。
国の動向を踏まえつつ、これからの取組を確実に実行できるよう、今年度を目途に特別支援教育ビジョンに示すこととしています。
(2) 理想のインクルーシブ教育実現のためのロードマップについて
【質問趣旨】
短期・中期・長期的な視点からのインクルーシブ教育の計画策定について伺う。
【答弁要旨】
本市の考えるインクルーシブ教育実現のため、目標の達成期間を定めながら計画を進め、検討・修正しながら一人ひとりの教育的ニーズを踏まえた方策を講じます。
短期的には、特別な支援を必要とする子どもへの就学前から社会参加まで切れ目ない支援体制の整備に向けて、支援計画作成におけるICTの活用を推進します。
中期的には、例えば通級指導教室において、希望する全ての児童生徒が在籍校で通級指導を受けられるよう、教育環境を整備するなどの取組み進めていきます。
長期的には、ビジョン達成の計画を随時改善しながら、子どもたち一人ひとりが自分らしく学び地域の一員として活躍できる社会の実現に向けた取組を行っていきます。
(3) 支援体制不足の声にどのように応えていくのか。
【質問趣旨】
現状において支援員の不足などの声を聞くが、支援体制を充実させる手立てをどう考えているか。
【答弁要旨】
特別支援教育の充実のためには特別支援教育支援員の拡充や校内支援体制の充実など、様々な視点から支援体制の整備が必要と考えます。
管理職はじめ、教職員一人ひとりの専門性向上に向けて研修の講座数を増やすとともに、支援の質向上と情報共有を図るため、ICTの活用を推進し、子どもの特性に応じた指導の工夫と合理的配慮を提供します
また、放課後等デイサービスや医療機関など、福祉や医療における関係機関との連携を図りながら、総合的な支援体制を図ります。
(4) 他都市の状況を把握すべきだと考えるがどうか。
【質問趣旨】
他都市の状況把握の必要性について
【答弁要旨】
先進的な取組事例など、他市の状況把握は特別支援教育を推進するにあたり重要であると考えます。本市でも、医療的ケアの実態や通級指導教室の運営などについてビジョン作成時から問い合わせを行いながら業務に生かしております。
また、現在、新潟市特別支援教育ビジョンに基づく計画の策定に向けて、構想や実践例など、様々な観点から他市の状況把握に努めています。
4 放課後児童クラブについて こども未来部長
(1) 放課後児童クラブを設置する基準と設置数について
【質問趣旨】
本市の放課後児童クラブの設置基準と設置数のほか、小学校区でクラブ未設置数はいくつあるのか。
【答弁要旨】
放課後児童クラブは、就労などで昼間保護者がいない家庭の小学生の健全育成を図るための施設で、市内には、公設のひまわりクラブが85クラブ、民設の放課後児童クラブが27クラブあります。
ひまわりクラブは、国の運営指針を参考としながら、継続的に40人以上の利用が見込まれる場合に設置しています。
小学校106校のうち、公設・民設ともクラブが校区内に設置されていないのは3校です。
(2) 本市における放課後児童クラブのニーズと傾向
【質問趣旨】
本市の放課後児童クラブの利用児童数の傾向について
【答弁要旨】
本市の小学生の数は全体では減少しているのに対し、放課後児童クラブの利用児童数は、増加傾向にあります。
令和5年度の利用児童数は、1万2,170人で、5年前の約1.2倍です。1年生が6割、全小学生の3割が、放課後児童クラブを利用しています。
(3) 小学校内で放課後児童クラブを設置するという国の施策(新・放課後子ども総合プラン)と本市の事例について
【質問趣旨】
学校内にクラブを設置するという国の施策に対する本市の取組事例について
【答弁要旨】
本市でも、国の「新・放課後子ども総合プラン」に則り、専用面積に対し利用者が多く見込まれるクラブについて、それぞれ学校と合意書を交わし、特別教室や体育館、グランドなど一時的に活用した分散運営を積極的に行っています。
また、夏休みなどの長期休業期間中はクラブで過ごす時間が長くなることから、全ての小学校長に対し、一時的な学校施設などの活用を依頼し、子どもたちが伸び伸びと過ごせるようにしています。
このほか、新プランで示されている放課後子供教室との連携については、運営委員会へのクラブ職員の参加、イベントの共催や合同研修会の開催など、様々な連携を行っています。
(4) 今後の小学校内への放課後児童クラブを増設する可能性について
【質問趣旨】
今後、ひまわりクラブがない小学校区に学校内にクラブを設置する可能性について
【答弁要旨】
本市では、児童数の増減の傾向は、地域によって違いがあることから、一概に少子化の影響で余裕教室が増えているとは言えません。
また、近年特別支援学級が増えていることなどから、教室の確保が難しいケースも増えています。
今後、放課後児童クラブがない小学校区で、保護者会などから民設クラブ立ち上げの働きがあった場合は、学校の余裕教室があれば、学校内で設置についても検討する可能性はあると考えます。
5 支援を要する児童の放課後等デイサービスについて 福祉部長
(1) 本市における放課後等デイサービス事業所数と利用状況について
【質問趣旨】
本市における放課後等デイサービス事業所の件数と利用状況を伺う。
【答弁要旨】
市内の放課後等デイサービス事業所は、本年12月1日現在で105か所あります。
事業所数は令和元年度末の65か所から大幅に増えているものの、サービスの支給決定者数は同年度末1,162人から令和4年度末には1,594人と急増しており、利用したくても定員に達して利用できないというお声をお聞きすることから、地域によっては、まだ不足している状況であると認識しています。
(2) 放課後等デイサービスの過不足とその課題の認識について
【質問趣旨】
北区はじめ放課後等デイサービスが不足する地域があるが、その要因は何か。
【答弁要旨】
放課後等デイサービス事業所は、西区や中央区が多いのに対し、北区や西蒲区が少ないなど、地域によって偏りがあります。
事業所開設を予定している法人からの聞き取りによれば、北区や西蒲区に事業所を設置する場合、中央区などと比べて、人口が少ないことから、利用者の確保や従業員の採用が難しく、経営の見通しが立ちづらいという声を伺っており、地域偏在は課題であると認識しています。
(3) 本市の今後の対応について
【質問趣旨】
放課後等デイサービス事業所数が不足している状況に対し、市はどのように対応していくのか。
【答弁要旨】
事業所の設置場所については、運営法人の意向によるため、市としての対応も限られてきますが、これまでも、運営法人などから、事業所指定に係る事前相談がある際には、事業所数の少ない地域への設置を薦めているところです。
引き続き、事業所への働きかけを行い、地域による偏りの解消に努めていきます。
6 本市における私道除雪の費用について 土木部長
(1) 積雪の程度による費用と自治会負担とのバランスについての認識
【質問趣旨】
積雪の程度によって自治会の費用負担が増えることについての見解を伺う。
【答弁要旨】
自治会が私道の除雪を行った際に、1回目は費用の1/2を助成し、2回目以降は費用の3/4を助成することとしています。
この制度を活用して、私道の除雪を実施する場合には、かかった費用の一部を自治会にご負担いただくことになりますので、大雪の際には、除雪回数に応じて自治会の負担も大きくなるものと認識しています。
(2) 大雪時の自治会の負担額の軽減となるような助成について
【質問趣旨】
私道には住民の持ち合いの土地により地域の道としている場合があり、積雪によっては酷な状況があり、大雪時の自治会負担の軽減策をとれないものか。
【答弁要旨】
近年は、気候変動の影響から短時間で集中的に雪が降る、いわゆる異常降雪が数年に一回の頻度で発生しています。
異常降雪時には、除雪回数も増え、自治会の負担も増加するものと認識しています。このことから、地域の皆様の負担軽減も含めて、どのような支援ができるのかについて、引き続き検討を重ね、地域の除雪力の確保に向けて取り組みを進めていきます。
7 本市における漁業について 農林水産部長
(1) 漁業従事者数の直近の動向
【質問趣旨】
本市における漁業従事者の直近の動向について
【答弁要旨】
新潟漁業協同組合の定款では、組合の地域内に住所を有し、かつ、1年を通じて90日を超えて漁業を営む者を正組合員としており、正組合員が主に漁業を支えています。
令和5年11月末日現在の本市の正組合員数は、法人6者を含めた138者となっており、5年前と比較すると、人数では58者減少、割合では30%減少しています。
(2) 漁業における担い手不足に対する施策について
【質問趣旨】
様々な産業において担い手不足が課題となっている中、漁業における担い手不足に対する本市の施策について伺う。
【答弁要旨】
漁業も他の産業と同様、担い手不足や高齢化が課題となっており、令和5年11月末日時点の正組合員の平均年齢は72.8歳、65歳以上の割合は80.6%です。5年前と比較すると、平均年齢は2歳上昇、65歳以上の割合は2.5%上昇しています。
担い手支援に関する補助制度や研修制度については、主に国や県が実施しており、本市では漁業者が設備の導入などで融資を受ける際の利子補給を行っています。
また、今年度、国が進める漁村地域の活性化計画である「浜の活性力再生プラン」の第3期の見通しを新潟漁業組合と共に進めており、今後の後継者育成に向けた取組みを計画に盛り込みたいと考えています。
(3) 漁業従事者に対する、物価高、災害や異常気象などに伴う損失などの制度的な補償とその必要性
【質問趣旨】
今年の夏の異常気象に伴う漁業の損失補償および物価高騰に対する市の対策の必要性について伺う。
【答弁要旨】
漁獲量の減少に対する補償については、漁業災害補償法に基づく漁業共済制度があり、一定の大きさの漁船や漁獲量がなければ加入できませんが、基準となる漁獲金額に対し、魚価安や不漁などによっては漁獲金額が減少した場合に補償が適用されます。
本市では漁獲の減少に対する支援制度はありませんが、昨今の燃油や電気料金の高騰に対する支援として、漁船の低燃費航行につながる船底塗装や必要な装備品の購入費用に加え、製氷事業に係る電気料金の支援を12月補正予算において、追加提案する予定です。
引き続き、国や県と連携し、市内漁業者に対する支援を図っていきます。