🌈新潟市を考えて 一般質問 ✤ 分析 ✤ 政策

1.本市の財政について
(1)本市の現在の財政状況について 市長
【質問趣旨】
後世に選ばれる都市となるためには、市民に必要な政策をなすことも大切ですが、適切な財政を保つために状況を知ることも大切です。財政と言うと難しい印象がありますが、家庭に置き換えればお財布の中身がどうなっているかということであり、言わば家計簿の管理です。借金である市債や貯金である基金がどうなっているのか。また、財政力指数、自主財源比率、経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率といった重要な指標もありますが、これらを分かりやすい言葉にしていただき、質問(1)として、本市の現在の財政状況についてお伺いします。
【答弁趣旨】
財政力指数は、標準的な行政サービスを行うための収入を自らどれだけ賄えているかを示し、自主財源比率は、市税など自由に使い道を決められる収入の割合を示します。経常収支比率は、経常的な支出を経常的な収入でどれだけ賄えているかを示します。実質公債費比率は、借入金の返済額の大きさを財政規模に対する割合で表したものであり、将来負担比率は、現在抱えている負債の大きさを財政規模に対する割合で表したものです。経常収支比率を除き、いずれの指標も本市は政令市の中で下位の水準にあります。
また、市民1人当たりの市債残高や基金残高も政令市の中で下位の水準にあり、特に基金残高については、令和5年度中に約118億円まで積み立てましたが、令和6年能登半島地震への対応のため、今年度末には約44億円となる見込みです。これらのことを踏まえますと、相対的に本市の財政は楽観視できない状況にあると認識しています。
(2)財政における課題とは
【質問趣旨】
令和4年度の財政指標ですが、本市の財政力指数は0.7を下回っており、政令市の中では最も低く、楽観視できないという状況にあります。また、実質公債費比率においては20政令市の中の19位であり、その比率は増加傾向にあります。起債許可団体という、地方公共団体が自主的な資金繰りに一部制約がかかってしまう基準に至ってはいませんが、数値として増加傾向にあることが気になります。また、自主財源比率も、政令市の中では低めです。少しずつの数値の低迷は、必要な行政サービスの費用の負担がだんだんと厳しくなっていく可能性を秘めていると考えられますが、背景にはどのような原因があるのでしょうか。それとも本市の状況は、そこまで不安視するものではないのでしょうか。
【答弁趣旨】
議員の御指摘のとおり、財政力指数、実質公債費比率ともに政令市の中で下位の水準にございます。
財政力指数については、市民所得や地価の水準、規模の大きな事業所が比較的少ないという産業構造などの影響により、ほかの政令市と比べて市税収入が少ないことが主な要因であると考えております。また、実質公債費比率につきましては、合併建設計画や新潟駅周辺整備などは市債を活用しながら進めてきたことなどから、ほかの政令市と比べて数値が高い主な要因となっております。
実質公債費比率が18%以上になると、起債に当たって総務省の許可が必要になり、財政運営の自由度が制約されることになります。本市の臨時財政対策債を除く市債残高は既にピークを超えており、今後も起債許可団体になる水準には至らずに推移するものと見込んではおりますが、その他の財政指標も含め、楽観視できる状態にはないと考えております。
【再質問】
起債許可団体にはならない見込みという御答弁が今あったわけですが、こちらは市債の部分が今後も増えていかないという見込みであれば、大丈夫というふうに考えられるかと思います。ただし、新潟県がこの起債許可団体へ移行したわけですので、本市にとっても人ごとではありません。本市が移行しないことを願うばかりですが、仮に起債許可団体となった場合、政令市である本市にとって、政策上どのような影響が生じ得ると考えられますか、再質問です。
【再質問答弁】
実質公債費比率が18%以上25%未満の団体は、公債費負担適正化計画の策定が必要となります。計画の中では、実質公債費比率を18%未満とする目標年度を定め、その目標の達成に向けて毎年度の市債発行額に上限を設けることとなるため、その範囲内でしか投資的事業ができなくなるということでございます。
(3)今後の財源の見通し
【質問趣旨】
本市の財政状況を先ほど確認したところですが、よりよい財政を目指すためにはどのような点に気をつけ、改善すると望ましいでしょうか。本市の税収は、個人による税収の比率が法人による税収の比率より高い傾向にあります。全国的な人口減少、そして本市もまた減少傾向の中で、税収の確保という点でも人口減少に歯止めをかける政策はもちろん必須ではありますが、どのような支出の見直しや収入面の増加を図ることが望ましいでしょうか。
【答弁趣旨】
歳出においては、民間活力の導入を含む既存事業の見直しなど、社会情勢の変化に対応した行財政改革に加え、将来世代に過度な負担とならないよう、建設事業費の選択と集中に継続して取り組み、経営資源の効果的、効率的な配分を行ってまいります。
歳入においては、人口減少を踏まえ、地域経済の活性化につながる施策、事業を重視することで、法人市民税をはじめとした税収の増加などを図る必要があると考えております。
2.学校給食の安全に向けて
(1)小学校・中学校における食物アレルギーの状況について
ア)食物アレルギー対応が必要な児童・生徒の人数と傾向
【質問趣旨】
近年、日本では、食物アレルギーであるとする症例が増えていると言われます。公益財団法人日本学校保健会による令和4年度アレルギー疾患に関する調査報告書においては、全国の公立小中高・特別支援・義務教育・中等教育学校の調査において、食物アレルギーである児童生徒数は、令和4年度では回答数の6.3%、人数としては約52万6,700人であり、平成25年の調査時には4.5%、数として約40万7,500人であったことから、およそ10年で12万人増加したことが示されました。年々、食物アレルギーを発症している子どもが増えており、家庭での食生活に限らず、学校や飲食店においてもアレルギー対応が必要とされる時代となっています。
このような情勢からの質問となりますが、ア、食物アレルギーの対応が必要な児童生徒の人数の傾向として、本市の学校における食物アレルギーを持つ子どもたちも多くなっているのか、またどういった食物アレルギーの種類があるのか、お聞きします。
【答弁趣旨】
今年の5月時点で、市立小・中学校において、医師の診断によるアレルギー疾患についての管理指導表が提出された児童生徒は約2,600人、全体の約5%となり、令和2年と比べますと約400人、1%増加しています。このうち、学校給食での食物アレルギー対応が必要な児童生徒の実人数は約1,300人、スクールランチ校を除く給食提供者の約3%に当たります。
複数のアレルゲンを持つ児童生徒もいるため、原因食品別の対応児童生徒の延べ人数は約2,400人です。食品別に見ますと、人数の多い順に、鶏卵、ナッツ類、甲殻及び貝類、魚卵、牛乳及び乳製品が挙げられます。
イ)食物アレルギーに関する事故とその対応
食物アレルギーは、かゆみや蕁麻疹、中には呼吸困難となる場合があると聞きます。人によって症状に程度の違いがありますが、症状が出た際には適切な判断が求められます。子どもたちにとって給食は楽しみの時間ではありますが、一方で注意が必要な時間でもあります。学校では、多くの注意を払いながら安全な学校生活となる努力をしていると思います。しかし、その中で思わぬ場合もあるかと推察しますが、食物アレルギーについてどういった事故例が起こり得るものでしょうか。
質問イとして、食物アレルギーに関する事故とその対応についてお聞きします。
【答弁趣旨】
食物アレルギーに関する事故は、本人、保護者、担任などの確認不足による誤配、誤食が最も多く、学校給食で初めて食べた食品で発症する初発の事例もあります。食物アレルギーのある児童生徒の給食は、毎月事前に保護者と学校双方で原因食品を含む献立を確認し、除去食を提供するか、代わりのものを持参するなど、日ごとの具体的な対応内容を決定しています。
調理施設においては、児童生徒ごとのこうした対応内容に基づき除去食などを調理し、除去した献立を異なる容器に盛りつけ、それぞれに対象児童の名前や料理名を記載した付箋をつけるなど、誤配を防ぐための工夫をしています。各学校園においては、年度初めのほか、都度食物アレルギー対応マニュアルに基づき全教職員が共通の認識を持って対応すべきことを確認するほか、初発を含む事故発生時に備え、エピペンの使い方や緊急時の対応についてシミュレーションを取り入れるなど、実践的な研修を行っています。
【再質問①】
多くのアレルギーの種類があることに加えて、小学校では給食で初めて食べる食べ物もあるため初発の事例もあるということで、非常に注意が必要であると確認しました。
その中で、各教室において、誰がどんな食物アレルギーかを把握し、適切に配膳が行われることがとても重要になるわけですが、その点も配膳の時点で各教室へのふるい分けをしているということを確認したわけです。小学校は特にそうですが、給食時間が決して長いとは言えないという環境です。子ども自身での管理も非常に大切でしょうし、大人の教員の目も必要であると考えるわけですが、そこで食物アレルギーを持つ児童生徒に対する各教室での配膳、全体ではなく各教室での配膳の管理がどのようになっているのか、再質問としてお聞きします。
【再質問答弁①】
各教室においては、事前に保護者と学校双方で確認した対応献立表というものが児童生徒ごとにあります。これを基にして、その児童生徒には1番に配膳をするということ。お代わりを行う場合は、特に注意が必要になります。また、全体でいただきますをする前ですけれども、児童生徒本人と教職員が配膳された給食そのものについて、再度その対応献立表で確認することとしております。教職員と子どもが一緒に確認するということが大事だと思います。子ども自身の自己管理能力の育成にもつなげてまいります。
(2)栄養教諭の人数と配置の状況
【質問趣旨】
昨年9月、新潟県内の小学校において、食物アレルギーのある児童が給食でアナフィラキシーショックを起こし、緊急搬送されるという事故がありました。この事故は、栄養教諭がメーカーの食材が以前と変わらないものと思い、配合成分表を取り寄せなかったこと、調理員も納品時の材料の確認を怠ったということで起きたとされています。児童は給食を食べて腹痛を訴え、1人でしばらくトイレに行き、教室に戻ってきたときに担任は異変に気づいたわけですが、エピペンの即座の使用がためらわれ、投与までに大分時間が経過したと報道されています。先ほど本市でもエピペン使用の研修が行われていると答弁がありましたが、県でも研修は行われていたものの、即座に投与して大丈夫なのかという迷いがあったとされています。この迷いが払拭される研修となることを本市でも望む限りです。
事故は栄養教諭の確認不足とされていますが、昨今、食物アレルギーの児童生徒の数が増える中、栄養教諭の職務の重要性や苛酷とされる状況があることにも注視すべきです。その事故では、栄養教諭が担当する学校が複数あったとお聞きしています。国が定める配置基準は最低限の基準とされ、食物アレルギーの子どもが増え続ける今、最低限の基準での配置では、働く環境として苛酷です。担当校が多いほど、学校別に把握すべき注意はさらに多くなります。このことは不幸な事故にもつながりやすくなることを意味しています。
ここで(2)、本市における栄養教諭の配置状況をお聞きします。本市の状況を把握するためにも、国の基準とともにお聞かせください。
【答弁趣旨】
栄養教諭の定数は、これに関する法律に基づいて定められています。自校で給食調理を行っている学校の場合、国の定数は児童生徒550人未満の学校で4校に1人であるところですが、本市においては2校に1人の配置をしています。給食センターについては、本市は国の定数と同程度の人数配置をしており、児童生徒1,500人以下で1人、1,501人から6,000人で2人を基準に配置しています。
【再質問②】
先ほどの配置の確認です。本市の場合、自校給食である2校に1名という配置ということで、配慮を感じたところであります。安心できる環境づくりの努力をしていると確認しました。しかし、給食センターの配置については、国の基準とほぼ同数という認識でよいでしょうか。そうであるとしたら、この基準を今後緩和できないものでしょうか。
【再質問答弁②】
本市の事情としましては、これから始まる中学校全員給食化の実施のために栄養教諭を大きく増員していく必要があります。現在、給食センターの一部において、国からの加配を配置しているというセンターもございますけれども、さらに改善が図られるように引き続き国に加配定数の要望をし、基準の緩和に努めていきたいと思っています。
(3)中学校への食缶での全員給食の準備と食物アレルギーの把握状況
【質問趣旨】
時代によって子どもたちの状況というのは変化していくものなので、給食センターへの栄養教諭の配置数についても、適正数の見直しをする時期に来たのではないかと思っております。ですので、どれぐらいの配置数で安全が確保できるのかということも再確認していただき、ぜひ検討を進めてください。
次の質問です。中学校への食缶給食の導入が決まり、今年度は準備を行っていると思いますが、質問(3)として、中学校への食缶での全員給食の準備と食物アレルギーの把握状況についてお聞きします。
【答弁趣旨】
中学校での全員給食の開始に向けて、これを契機として今年10月、全ての学校園の管理職、養護教諭、栄養教諭等を対象とした説明会を開催し、食物アレルギー対応について認識を共有しました。また、新たに給食対応が必要となる生徒の把握のために、保護者への周知や調査、面談など、今後必要なことを確認し、現在各校で準備を進めています。
切替え対象の中学校28校のうち、民間調理施設からの受配となる23校については新たに学校に栄養教諭等を配置し、安心、安全に給食を実施するための体制とします。また、マニュアルの見直し、検討と併せ、食物アレルギー対応を含む給食指導の研修動画を作成、配布するなど、既存の給食センターから受配となる5校を含め、スムーズな開始に向けて取り組みます。
3.子どもたちの通学について
(1)スクールバスの運行状況と運行の基準
【質問趣旨】
子どもたちが小・中学校に通う際、家庭の送迎以外の手段として、徒歩、自転車、スクールバスがあります。この中でもスクールバスは、運行されている学校とそうでない学校があります。
本市においてスクールバスが運行されている場合について、質問(1)として、スクールバスの運行状況と運行の基準がどのようなものか、お聞きします。
【答弁趣旨】
本市では、国の基準を踏まえながら、学校統合に起因して遠距離通学となり、ほかに交通手段がない場合にスクールバスを配備し、安全性の確保を第一に運行しています。令和6年度時点では、市内全体で59台のスクールバスを運行しており、小・中学校27校、特別支援学校2校の計29校、約1,600名の児童生徒が利用しています。
(2)同じ学区内にある中学生による利用の可能性
【質問趣旨】
本市では、主に学校統合による場合にスクールバスが運行されており、本市の基準は国の基準に基づいております。この基準では、中学生がスクールバスで通う場合とは中学校が統合された場合ということになり、統合されない限り、徒歩、自転車での通学が前提となります。
自転車で通学することが想定されている生徒の中には、トラック等の大型車両の往来が多くなったことや、一緒に自転車で通学できる同じ方向に住む友達がいないために、通学の途中で事故に遭ってもその事故さえ発見が遅れるのではないかと心配する御家庭が少なくなく、自転車ではなく、車での送迎という手段を余儀なくされると聞きます。生徒の通学上の環境の変化に伴い、地域によっては自転車での通学が難しいこともあります。
中学校では1校または複数の小学校を卒業した生徒が通いますが、生徒の中には小学校の統合により、スクールバスが走行する区域に住む場合があります。このような既存のスクールバスが同じ区域において経路の変更の必要もなく運行できるような場合に、自転車通学が難しい状況にある中学生も利用することは支障がないように思えますが、いかがでしょうか。同じ学区内にある中学生による利用の可能性についてお伺いします。
【答弁趣旨】
スクールバスの運行に関しましては、学校統合の際の地元との合意に基づくものに限定されており、それ以外の利用は、他の地域とのバランスから難しいものと考えております。市内においてスクールバスの運行事情や利用形態により不公平感があることは承知していますが、通学時における安全対策につきましては、学校における交通安全教育の質の向上を図るとともに、関係機関と連携しながら交通安全指導をしっかりと行い、安全性の確保に努めてまいります。
(3)区バスや住民バスとの連携の可能性
【質問趣旨】
スクールバスが同じ学区内にがらがらの状態で走っている状態を、非常にもったいないというふうに思いながら地域の方が見ている現状もあるので、ぜひ柔軟に見ていただきたいというところではありますが、なかなかその点が難しいということで、次の質問に移りたいと思います。
さきの質問に述べたように、中学生の登下校における危険性は時代とともに変化しています。現行基準による自転車通学は、場合によって苛酷な状況があります。事情によっては、区バスや住民バスをスクールバスのように利用できるような連携も必要であると考えます。
(3)として、区バスや住民バスとの連携の可能性についてお聞きします。
【答弁趣旨】
児童生徒の安全、安心な通学手段の確保のため、スクールバスと区バスや住民バスなど、地域交通の効果的な活用を検討することは重要です。現在、教育委員会では、令和4年10月より北区の長浦地区で運行しているエリアバス×タクで、中学生が冬季に利用する場合に、定期券購入費の一部を助成する取組を行っています。こうした取組については、関係機関と相互に情報を共有するなど、平時より連携を推進するとともに、区バスや住民バスへの展開に向けた検討につなげていきたいと考えております。
4.発達障がい通級指導教室の今後の展開について
(1)巡回指導の今年の実施状況
【質問趣旨】
今年度から特別支援教育において、発達障がい通級の巡回指導が始まりました。巡回指導については、現在8区全体では実施されていないため、一刻も早く全市展開となることを希望される御家庭が多く、御意見を多数お聞きするところです。全市展開を進めるためには、巡回校を回り、指導する担当者の確保が必要であり、担当者の育成についてもどのように検討されているのか気になるところです。6月定例会においても巡回指導について質問しましたが、それから少し時が過ぎ、経過、状況はどのようになっているのでしょうか。
質問(1)として、巡回指導の直近の実施状況についてお聞きします。
【答弁趣旨】
今年度、発達障がい通級指導教室の巡回指導開始に当たり、小学校3校、中学校1校、計4校を拠点校とし、1校の拠点校に3校ずつ、計12校の巡回校を設置しました。巡回校は、8区のうち5区にわたっています。巡回校の保護者からは、送迎が不要になり、負担がなくなった。自校なので、緊張せずにスムーズに通えているという声が寄せられています。通級指導教室の様子や指導内容を知り、利用を希望する児童生徒は増加傾向にあります。担当者は、巡回校で特別支援教育コーディネーターとの面談、通常の学級での授業参観、教育相談など、業務が多岐にわたります。担当者が業務を円滑に行うことができるよう巡回校と情報を共有し、協働して特別支援教育を推進しています。
次に、担当者の育成についてです。新任担当者は原則、通級指導経験のある担当者との複数配置とし、業務を行いながら通級による指導に関する研修を進める体制を整えています。新任担当者研修を月に1回程度、指導主事による年2回の訪問指導を行っています。巡回指導の充実のためには、担当者の人材確保が急務です。そこで、全市の教員に向けて通級指導教室リーフレットを作成し、通級指導教室について周知しています。また、人事異動の際に通級担当の希望の有無を確認し、人材確保に向けて取り組んでいます。
(2)通学に配慮を要する児童・生徒への対応について
【質問趣旨】
巡回指導が非常に好評で、ニーズに即した事業を実施していただけているということに感謝を申し上げます。そして、児童生徒が発達通級に通う際には、保護者が送迎する必要があります。送迎において、通級の学校からお住まいが遠い場合、御家庭の負担が大きくなります。
私が住む北区では、通級における送迎時の悩みをお聞きすることが多いです。居住地によっては、通級指導を行う学校まで車で向かうとなると、道路が渋滞していなくても30分はかかり、通う時間帯によっては倍近くの時間がかかってしまうというものです。まして、公共交通機関を使って向かうことも容易ではありません。
送迎において時間がかかり過ぎると、中には通級指導を受けることをちゅうちょしてしまう可能性があります。子どもの学習を支援する教室であるにもかかわらず、支援につながらないことも起こり得ます。これでは、子どもたちの修学に影響を与えかねません。少しでも巡回指導を展開する中でも、距離的な配慮をした通級教室を増やしてもらえないかと強く望むところです。
通学に配慮を要する児童生徒への対応についてお聞きします。
【答弁趣旨】
通級指導教室の設置につきましては、保護者の送迎に対する負担を解消するため、また在籍している学校で安心して通級による指導を受けられるようにするため、地区のバランスや対象児童生徒数などを考慮し、決定しています。在籍校から通級校まで遠距離の児童生徒につきましては、拠点校、巡回校の新増設を計画的に進めることで、解消を図ってまいります。
5.出張児童館について
(1)北区における「どこでも児童館」の実施状況
【質問趣旨】
今年度から北区では、地域の要望に応じて児童館がその地域で実施されるという、どこでも児童館が始まりました。私の出身の南浜小学校区では、多い日には全校生徒の半数を超える30名近くの子供たちが授業を終えると児童館で過ごす様子が見られます。私も実際に、どこでも児童館へ子供たちの様子を見に行きましたが、参加している子供たちに話を聞くと、友達と遊べる時間が増えて楽しいと言っていました。北区のほかの地域での開催も拝見させていただきましたが、やはりどの地域の子どもたちも生き生きとした様子が見られました。
放課後、学校で友達と時間を過ごすことが難しくなり、友達と時間を過ごすことができる場所が限られている時代に、どこでも児童館の存在は、子どもたちの新たな居場所づくりとなっているように感じました。北区の事業として実施されていますが、どのくらいの利用者が、どういった団体等の依頼で実施地域の傾向などが見られるのでしょうか。始まってから1年たちませんが、これまでに見えてきた状況はいかがでしょうか。どこでも児童館の実施状況についてお伺いします。
【答弁趣旨】
出張児童館事業どこでも児童館は、児童館のない地域に対し、児童館職員が出張を行うことで、区内全域に子供の居場所づくりを推進することを目的に開始しました。今年度7月から本格実施し、11月末時点で117回の出張を行い、延べ2,987人、月平均で約600人が利用しています。
開催場所については、児童館のない地域を中心に、区が学校や地域、保護者のニーズを聞きながら出張先の選定を行い、小・中学校やコミュニティセンター、自治会館など、子供たちが通いやすい公共施設や地域施設を活用しながら柔軟に開催しています。地域の方からも、子どもたちの活気のある声が地域に戻ってきた、また多世代交流にもつながるなどと喜ばれています。
(2)中学生や高校生のニーズと課題
【質問趣旨】
私が見学した際には、どこでも児童館の会場では小学生が多い印象を受けました。児童館の施設となると、年齢的には高校生くらいまでの子どもたちが利用することが想定されていますが、今年度の事業において、中学生や高校生のニーズはどのようになっているのでしょうか。また、実施において見えてきた課題というものはどういったものがありますでしょうか。中学生や高校生のニーズと課題についてお聞きします。
【答弁趣旨】
児童館、児童センターの主な利用者は小学生であり、出張児童館事業においても利用者のほとんどが小学生で、中学生や高校生の利用ニーズは少ない状況です。一方、中学校を会場としている地域もあり、そこでは小学生と中学生が一緒に利用することにより、中学校に進学した子どもたちが新しい環境になじめない、いわゆる中1ギャップの解消にもつながることも期待されています。こうした取組を継続しながら、幅広い年代が求める居場所づくりを進めていきたいと考えています。
また、事業全体の実施における課題については、子どもたちの居場所となるべく相当回数の出張を行い、充実させたいと考えていますが、出張を行う児童厚生員の資格を持つ専門人材の確保が課題として挙げられます。
(3)全8区への導入について
【質問趣旨】
今まで児童館がなかった地域や児童館が遠かった地域にとっては、どこでも児童館が子どもたちの新たな居場所となっています。友達と時間を共有することは、社会性を身につける時間を増やすことであり、子どもたちの豊かな経験を増やす機会をつくることにつながっています。とてもよい試みであると考えますが、このように児童館の機能を生かした地域のニーズに応える事業への取組は、本市ではどのようになっているのでしょうか。実施のない地域もあると想定しますが、子供の機会の平等性という観点からは、もともと児童館がなかった地域だから仕方がないという地域格差はなくすべきと考えます。全8区への導入についてお聞きします。
【答弁趣旨】
子どもたちへの健全な遊びの提供や居場所を確保することは重要であると認識しています。
現在、児童館、児童センターのあるほかの区でも、児童厚生員が学校や公民館、自治会館、放課後児童クラブなどの既存施設へ出向いて遊びの提供を行っています。これらの児童館機能を生かした取組も参考に、今後、地域の特色に応じた多様な子どもの居場所の充実に向けて検討してまいります。
【再質問③-1】
検討していただけるということですが、再質問です。実際に、8区でのこういった事業展開というものは、検討の中に入れてもらえるのでしょうか。
【再質問答弁③-1】
今年度、社会福祉協議会に居場所の立ち上げ支援コーディネーターを配置しております。その中で、居場所の把握、ニーズ調査などを行っております。そういった結果も見ながら、居場所の充実に向けて検討していきたいと考えています。
【再々質問③-2】
再々質問です。ニーズ調査を経て、その後に検討ということですが、ニーズ調査の結果自体は公開されますでしょうか。
【再々質問答弁③-2】
現在、ニーズ調査の取りまとめをしているところでございます。その結果についても公開する方向で検討してまいります。