🌈新潟市を考えて 一般質問 ✤ 分析 ✤ 政策
1、積立基金(=市の貯金)の残高
新潟市の財政の問題として、ここ数年、基金の大幅な減少が論じられることが多くありました。では、その基金の減少とは、どのように進んだのでしょうか。
平成18年以前は、新潟市は中核市であり、政令市になるための準備として、隣接地域との合併が行われました。そして、新潟市は、平成19年に政令指定都市となりました。この合併の際に、新潟市もまた合併特例交付金を得るなどして、安定した額の積立基金を貯えることができていました。
基金の種類は、大きく分けて3種類あります。使い道が自由な「財政調整基金」、返済のために積み上げる「減債基金」、使用目的を指定した「特別目的基金」です。注目されるのが、「財政調整基金」です。これは、自治体が災害なのどの急な入用に使える貯金でして、一般家庭においても、もしものための貯金をしておく…といったものと似ています。
しかし、新潟市の貯金は年々減少し、特に平成26年度では大幅に減りました(図①)。この当時は、採算の見込めない大型の事業・政策の多い印象の時勢でした。令和元年度まで、新潟市の積立基金は減少が加速し、平成25年度から平成29年度の間、約235億円減少させる状況となっていました。平成29年度においては、約33.8億円までに至り、翌年から財政調整基金の積み上げが行われるようになりました。
令和元年度においては、財政調整基金の積立額を増やし基金額の合計が増加し、令和2年度では減少となりましたが、令和3年度および令和4年度では100億円を超える貯金となっています。
【図①】
⁂ 財政調整基金・・・使い道が自由な貯金
⁂ 減債基金・・・・・借金を支払う担保としての貯金
⁂ 特定目的基金・・・一定の目的に使うのための貯金
新潟市においては、上記のような基金の動きがある訳ですが、他の都市ではどうなのでしょうか。他の都市においても、災害やその時々の都市整備等の事業などにより、基金の取り崩しが行われたり、余裕が出来た時に積み上げを行っています。
新潟市の基金の状態が、いわゆる普通の状態なのか、都市規模が比較的似ている、政令指定都市の間で令和4年度の数値を比較してみます。政令指定都市の分類でも、人口に違いがあるので、「1人当たり」の数値を出しています。
令和4年度の市民1人あたりの貯金について、新潟市を含む政令指定20都市での平均額は、約52,500円です。前年度よりも平均額が高くなり、全体的に貯金額が増えた状況となりました。 令和3年度においては、新潟市の約13,964円であり、20都市中で19位という状況にあります。これは、積立金額を増加させている中での数値ではありますが、未だ非常に厳しい現状にあります(図②)。
【図②】
2、市債(=市の借金)の残高
平成29年度の決算以降、新潟市の借金が6,000億円を超えています(図③)。平成26年度から平成30年度までの間で、約1,000億円の増加となりました。この間は、市債による歳入への充当額が、毎年約600億円前後の額(多い年度で700億円近く)が、借金となっていた状態でした。
あまりにも巨額なため、イメージしにくいため、1人当たりにして計算してみます。借金の額を市民1人あたりの金額に計算すると、令和4年度では約81万円という計算になります。大きいでしょうか?それとも、さほどでは無いと思われたでしょうか。私個人としては、大きいと感じでいます。奨学金の返済に当てはめて考えると、容易でない感覚です。
ちなみに、新潟市の支出内容の構成割合を見ると、令和4年度においては、1位が民生費の32.5%、2位が教育費の16.9%、3位が土木費の16.0%、公債費が11.3%、衛生費9.2%となっています。現在は、多くは市民生活の費用となっています。度々注視される土木費について、平成29年度までは、20%前後の比率でありましたが、平成30年度以降は減少されています。
【図③】
政令20指定都市の中で、新潟市の状況はどの程度でしょうか。一人当たりの借金の額について、新潟市は、上位(ワースト)4番目となっています(図④)。総額だけを見ますと、多額なのかどうか分かりにくいものですが、これを一人が背負う借金としてみると、その額の程度が見えてきます。
ちなみに、新潟市の5年前では真ん中くらいでしたが、3年前ではワースト5位でした。新潟市は、ここ数年、市債額が減ってはいるものの、少しずつ借金を重ねている状態であるため、悪化しているといえます。
【図④】
市債は、日常生活では馴染みがあるものではありませんが、家庭に置き換えると、建物を修繕したり、建て直ししたときにお金を借りれば、住宅ローンを組んだり、子どもの教育費用のために借入れすれば教育ローンであったりします。一般的には、自治体も必要に応じて借入し、生活が回るように資金繰りをしています。お金の使い方がより効率よくするために、家庭での話し合いをするように、議会でのチェックや、関心を持っていただくことによって、より効率的な使い方となると考えられます。
※本ホームページで使用しているグラフのデータは、総務省が公開する地方公共団体の決算カード(普通会計)の内容をもとに作成しています。